nina1988の日記

東京に暮らすワーママが日々のことを綴る日記。主に美術館に行ったことなどの感想を綴ります。

Bunkamura ザ・ミュージアム ミロ展に行ってきた

先日、Bunkamuraザ・ミュージアムのミロ展に行ってきた。渋谷のBunkamuraでやっている企画展である。

 

www.bunkamura.co.jp

 

まずミロ展云々の前に、Bunkamuraザ・ミュージアムについて。この美術館は、2023年4月に東急百貨店本店の閉店に伴い、長期休業に入る予定の美術館である。

www.wwdjapan.com

 

跡地には、東急グループとLVMHグループの共同で新たな複合施設を建設予定で、そこにBunkamuraも組み込まれる(?)予定とのこと。余命約1年の美術館という訳である。哀しいかな、あと一年だからということで、美術館としての機能もスペックもアップデートしないまま、あと一年なんとかやり過ごそうという雰囲気が漂う。よく言えばクラシカルな雰囲気ともいえる。(これは好みによる)

 

第一に、展示作品の撮影禁止(模写すら禁止!)。たぶん、日本では、昔(約10年前くらい?)はこれがスタンダードだった。私が大学生のころ、初めて欧米の美術館へ足を運んで、撮影OKな美術館が多いことにとても驚いた。欧米において、多くの美術館は、商業的な意味合いよりも文化装置としての機能が重要で、実物を生で見ながらそれを写真に収めることは、見る人の学ぶ権利であり、あまり禁止されていないような雰囲気だった。もちろん、全ての美術館でそうではなかったけれど。

日本でも、近年は写真撮影OKなところが多くなってきている。それは、教育的配慮というよりも、SNSの影響力が大きいと思う。「○○展に行ってきました」とインフルエンサーがインスタグラムに作品をアップすることが、美術館や作家にとって、デメリットよりもメリットが上回ると判断されるようになったということなのだろう(とりわけ現代アートの美術館ではこの傾向が強い)。美術館がより人々の身近な存在になるために、これは喜ばしい傾向だと個人的には思う。著作権とか、色々難しい問題はあるのだろうけれど。

そんな時代の流れに逆行するかのような、Bunkamuraの写真撮影禁止の措置。いくら来年閉館するからって、写真撮影OKくらいはすぐできるんじゃないのかな~?(いぶかしげな目線)と思ってしまった。これは、Bunkamuraの来場者が、ご年配の方が多い事とも関係していると思う。先日行ったときの客層も、初老の裕福そうな方々が多い印象だった。

 

第二に、音声ガイドについて。首から大きいリモコンのような機械をぶら下げて、作品の前に行き対応する番号を押して説明をきくスタイルで、しかもその大きいリモコンのような機械を借りるのに600円かかるようになっていた(久しぶりに見た)。そもそも一般料金は1800円(高め)。機械を借りたら合わせて2400円になる。まあ、Bukamuraに来る層には関係ない額なんだろうな~と思いながら、アプリをダウンロードすれば自分の携帯で無料で解説をきけるARTIZON美術館の便利さを思わずにはいられなかった(ARTIZON美術館はリニューアルの際、本当にこのへんの、お客さんの見やすさにこだわった投資をしてくれたと思う。東急も見習ってほしい。まじで)。

このBunkamuraの残念さは何と表現したらいいのか。今の彼氏(Bunkamura)とごはんに行って、ケチで美味しくないお店を予約してあって、それに失望し、元彼(ARTIZON)は良かったなあ、色々気遣いがあって素敵だったなあ、と後悔する感じと言うのだろうか。(いや、絶対違う)

Bunkamuraを擁護するとすれば、あと1年のために新しいアプリと音声ガイドの開発は確かに無駄な投資だよね。ここはいつか再開する際にぜひとも力を入れて欲しいポイントだと思います。よろしく頼みます、LVMH!!!!

 

次に、ミロ展について。

率直な感想としては、良かった。ミロの軌跡や作風の変遷がよく分かったし、日本文化と関連付けての展示は、見る人にとってとても分かりやすかった。このコロナ禍で、電車にちょいと乗り、千円ちょっとでミロの作品の実物をある程度纏まった量を一気に鑑賞できるという価値は、とても高いと思う。特に、初期の作品群は、マティスルノワールセザンヌ?と思うような雰囲気のものもあり、やはり、真似ることから人は学び、各々のスタイルを確立していくんだなあということを改めて感じることができた。ただ、コロナ禍でなくて、気軽に海外旅行に行けていたら、わざわざ渋谷の片隅にミロを見に行かないかなあ、という印象も。いわゆる、「わぁ、ミロっぽーい!」という雰囲気の作品は、3-4作品しかない感じ(あくまでも個人的な感想です)。

 

私はこれまで、バルセロナのミロ美術館やニューヨークのMoMAなど、沢山の場所で色んなミロの作品を見てきてた。良くも悪くも目が肥えてしまっている。今回の感動の少なさは、そんな私の個人的背景が影響していると思う。

ただ一つ思ったのは、日本を夢見てという副題の白々しさ、、、、印象派以降の西欧アーティストがJaponismに影響を受けたのは自明の事実だけれど、そこには尊敬のまなざしの他に、西欧文明の対義となる未開(primitive)のアジアとしての視点もあったように思う。展示物に、ミロの所蔵として埴輪の写真集があったが、埴輪って日本文化なのだろうか?え、古墳時代までさかのぼって尊敬のまなざしを持ってた?など疑問が湧いた。もちろん、ミロは日本に2回も来てくれているし、色々影響を受けたのは間違いないのだろうけれど、「日本を夢見て」という副題に単純化していいのかな~と。まあ、この「西欧にも影響を及ぼす日本文化すばらしい!」の雰囲気って、Bukamuraの客層の方々は大好きなんだろうけどネ。そういう意味ではマーケティングに成功してると思います。

休館までの残りの展示は、行けたら行きたいな~と思います。東急百貨店本店に入っている丸善ジュンク堂は大好きだし、通りを挟んだ目の前にあるVIRONも大好きだし、横にあるお蕎麦屋さんの嵯峨谷も美味しいし、ちょっと歩くとSPBSもあるし。あのエリアの散策は大好きなんだよね~。

東急百貨店の閉館で、様変わりするであろう渋谷松濤のエリア…。今ある雰囲気を、あと一年間存分に満喫したいと思います。

 

まあ、それよりも、本当に行きたいのは、バルセロナの小高い丘に佇むミロ美術館だね。。あ~海外行きたい!

 

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