nina1988の日記

東京に暮らすワーママが日々のことを綴る日記。主に美術館に行ったことなどの感想を綴ります。

東京都庭園美術館に行ってきた

先日、東京都庭園美術館へ行ってきた。

www.teien-art-museum.ne.jp

 

初めて行く美術館で、存在は知っていたのだが、なかなか行く機会を得られずにいた。そんな折、ブラタモリ~白金編~で、この美術館が紹介されていて、興味を持ち、足を運んでみることにした。

www.nhk.jp

 

この庭園美術家に採用されている建物は、旧朝香宮家の邸宅で、朝香宮家とは、現在の明仁上皇の大叔父さん(お母さん方のお爺さんの兄弟?多分)が創立した宮家。

建築は、アール・デコ様式。アール・デコ様式とは、アール・ヌーヴォー様式(WWⅠ前のパリで花開いた文化で、植物の曲線をモチーフにした華やかな様式)の次に新大陸で発展した様式のことで、主にニューヨークのロックフェラーセンターエンパイアステートビルで採用されている。定規で引いたような直線と、コンパスで描いたような円のモチーフを繰り返す、幾何学模様の連続が特徴とされる。

 

WW1後、世界の中心が欧州からアメリカへ移ったことが象徴されるような、様式の変遷。実際に建物の中に足を入れてみると、その当時最先端であったアール・デコ様式のモダンさと、日本建築の静謐さを融合させたような、静かな豊かさが満ちていた。落ち着いて写真を撮ることが出来なかったので、詳細は割愛。

 

戦後に朝香宮家が皇籍を離脱する際に(皇族はGHQの改革で免税特権を廃止され、豪華な邸宅を維持できなくなった)、この邸宅は手放されることになったのだが、それを、なんとあの吉田茂が首相公邸として使用することにした。その後、紆余曲折を経て東京都が買い取り、美術館として1983年にオープンしたという歴史を持つ。

 

このように、仮に美術展の展示内容が全く充実していなくても(そんなことはない)、その建物を見るだけで相当な価値がある美術館となっているので、散歩のついでなどでフラッと行ってみてほしい。ちなみに、隣には国立科学博物館附属の自然園があり、白金という大都会の中心にありながら、豊かな自然を感じることが出来るスポットとなっている。(この豊かな自然が、白金が高級住宅地でありえる所以でもある、とブラタモリタモリさんが言っていた)

 

さて、肝心の展示内容について。

 

奇想のモード 装うことへの狂気、またはシュルレアリスム

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展示内容は、シュルレアリスムがファッションにどのような影響を与えたか、というような展示だった(はず)なのだが、正直、ゆっくり見ることができなかった。なぜなら、3歳の息子と行ったからである。(じゃあなぜレビューするのかという疑問は置いておきます)

 

まず象徴的だなと思ったことは、シュルレアリスムは、戦間期のヨーロッパで生まれた流派だが、シュルレアリストアンドレ・ブルトンやエルンスト、ダリなど)たちは、WWⅡの戦禍を逃れ、ニューヨークへ亡命していることである。そんな彼らの展示が、アール・デコ様式の庭園美術館で行われるということは、何か時代の大きなうねりを一挙に引き受けたような、建物と展示物の奇妙なマッチングが生み出されているように感じた。実際に、直線的で無機質だけれども静かな豪華さが漂う部屋で見るダリの彫刻や、マグリットのだまし絵などは、「私はこの美術館に所属する調度品ですよ」と作品が言っているように思えるほどだ。

 

いわゆる美術作品は多くなく、その影響を受けた「ファッション」の展示なのだが、その関係性は(何度も言うが息子と行ったので)上手く理解できなかった。もう一回、一人で行って見直したい。果たして行けるだろうか。

 

最後に、子どもと美術館にいくということについて。庭園美術館には、子どもを温かく見守ってくださるスタッフさんが沢山いらっしゃった。「よく来たね~」「かっこいい絵だよね~」などと話しかけてくれる方もいらっしゃって、子どもがちょっと大きな声を出してしまったとしても、ピリピリせずに鑑賞することが出来るとても良い美術館だと思った。入口を入ってすぐの部屋にはウォーターサーバーが設置された談話室のようなものがあり、座ってゆっくりしたり、無料の塗り絵で遊んだり出来るようになっており、ますます子供向き。シュルレアリスムというジャンルに関しても、子どもと「面白い絵だね」「なんでこの人溶けちゃってるの?」などと素朴な疑問を話しながら鑑賞できたので、子ども×シュルレアリスムは、案外相性がいいのかもしれない。大人も、「この絵は何の象徴なんだろう?何のメタファーなんだろう?」なんて難しいことを考えずに、「変な絵だね、あはは」なんて言いながら、身構えずに鑑賞できるからだ。

 

私の朧気な記憶によれば、マン・レイの絵や、キリコの絵もあり、1000円ちょっと払うだけでこんな豪華なラインナップに出会わせていただき誠にありがとうございます~と大変ありがたい気持ちになることが出来る展覧会でした。

 

もう一回(一人で)行きたいな~、なんて。